2017-06-29

福島・小名浜のかご『万漁カゴ 取材記 vol.1』

今週は、福島県のいわき市にやってきました!

こちらは、沿岸部の再開発が急速に進み、火力発電用の石炭を運ぶ
タンカーが行き交う小名浜の眺め。
小名浜港は、県最大の漁獲高を誇る大きな港でしたが、震災以降は
試験操業の状態が続いています。



かつて、この港に水揚げされた大量のサンマやカツオを運搬するのに
活躍した竹籠、『万漁カゴ』が不可欠だった時代がありました。

現在、この大きく頑丈な竹籠をつくれるのは、港の近くに住んでいる
一人の職人さんのみ。二代目の竹細工職人として60年以上にわたり
活躍している 西山昭一さん です。

これまでもその仕事ぶりを見せてもらいに何度かお邪魔してきましたが、
今回はあらためて「映像」として記録に残すことを目的に伺いました。


今まで何度となく見ていたはずの手の動きも、記録することを意識して
見ると、全く異なって見えます。
そして、竹を割ったり、削ったり、編んでいるときに聞こえる
リズムを刻むような「音」の存在も、今回はじめて意識しました。

無駄のない仕事ぶりから生まれる、心地よいリズム。
手と足の裏を使い「せん」という道具で竹を削る音。

縁を巻くとき、ギュッと力をいれたときの音。

この数年間、当店が扱っているかごの中で、50年先まで続くものは
どれだけあるのだろうと、いつも考えてきました。

そして、かごを販売する店として、産地の現状を知り、関心あるかたに
伝えていくことに加えて、なにか形として「記録」に残していくことも、
役割の一つかもしれないと思うようになりました。

完成したばかりの万漁かごからは、乾くまでの間、
「パチパチ」とちいさな可愛い音が聞こえてきました。

今回は二日間の取材で、かごづくりの工程の撮影が終了しました。
次回は、竹を採取するのに最適な時期に伺って、よい素材の選び方など
竹林での仕事を取材させていただく予定です。

西山昭一さんによる『 万漁カゴ 』の映像の記録は、来年春ころの
完成を目標に準備をすすめています。
どうぞご期待ください!

伊藤

2017-06-23

児玉美重さんの『竹かご展』

今年も、児玉美重さんによる竹かごの展示会を、7月5日(水)より
開催する運びとなりました!


大分県の海沿いの小さな城下町・杵築に工房をかまえる児玉さんは、
白い竹を使い、繊細で透明感のある、見た目にもうつくしいかごの
製作を続けていらっしゃいます。

三度目となる今回の企画展では、食卓やリビングで日々活躍してくれる
暮らしのかごを多くご覧いただける予定です。

<< 児玉美重 竹かご展 >>
会期: 7月5日(水) ~ 16日(日) ※11日(月)12日(火) 休み 
     10:30-17:00  
場所:カゴアミドリ(国立市) map: http://goo.gl/wh0uss

7月5日(水)・8日(土)の二日間は、児玉さんもお店に在店いただきます。
ぜひこの機会に、お運びくださいませ!

※6月26日をもちまして、受付を終了いたしました。
また、会期前日には、ワークショップも開催いたします。
直径25センチほどの四ツ目のかごを、一日かけて製作いたします。
もちろん、初心者の方もご参加いただける内容です。

<< ワークショップ >>
◎ 会期:7月4日(火)10時~17時
  ※進行状況により、30分程度前後する可能性があります。
◎ 募集人数:5名
◎ 参加費:8,500円(材料費込・税込)
◎ 必要なもの:エプロン、持ち帰り用の袋

左側の大きさのかごを製作します
◎ お申し込み期限:6月26日(月)
 ※参加者多数の場合は抽選とさせていただきます。
  (抽選の場合、参加者の方のみの連絡とさせていただきます)
  ご参加の方には、28日(水)までにメールにてお知らせいたします。
  
みなさまのご参加をお待ちしております!

2017-06-22

やまぶどう樹皮採取シーズン到来!

こんにちは。
こちら東京では、梅雨らしい天気が続くようになりました。

蒸し暑く、何かと過ごしにくい時期のはじまりですが、樹皮を
素材とするかごの作り手さんたちにとっては、本格的な材料採取
のシーズン! 特に、ヤマブドウの樹皮がきれいにはがれるのは、
木々がぐんぐんと水を吸い上げるこの梅雨時期だけです。

先日は、日頃お世話になっている作り手さんとともに、ヤマブドウ
樹皮を採取するため、新潟の山に行ってきました。

当日、向かったのは標高1000メートルほどの山。
この周辺では、この時期「ブユ」が多く発生すると聞いていたので、
かつて何十か所も刺されたことのある僕は、恐れおののいていたのですが、
首元には手拭いを巻き、顔はほっかむりをするなど備えていたことと、
気温が15度ほどと低かったこともあって、ほとんど刺されずにすみました。

でも当日は、山に入るなりスズメバチの威嚇を受けたり、マムシやクマも
多く生息している場所らしいので、たくさんの危険が潜んでいることを
あらためて実感したのでした。

明るい「キミドリ色」の葉っぱがヤマブドウ。
その下に目を凝らすと、蔓が下がっているのがわかります。

まずは、ヤマブドウの蔓を探し山を歩いていく訳ですが、ほとんどの場合、
幹や枝に絡みあって成長しているものばかり。節やねじれが多くあるため、
かごの材料に適しているものは、なかなかみつかりません。

しっかりと成長して、太さがあるもの、まっすぐ伸びているものは、
数十本に数本程度しかありませんでした。


今回、蔓を採取するために活躍したのは、先端に鎌を取り付けた長い竹竿。
(つい数年前までは、一番高いところまで木に登って採っていたんだそう!)
6メートル近い竿を持ち上げ、手を伸ばせば8メートルの高さの蔓に
手が届くようになります。

ヘルメットは必須アイテム。
 切った蔓が自分に向かって落ちてこないよう
角度も計算に入れておかないといけません。

しかし、ゆらゆら揺れる竿先の操作はとてもたいへん!
蔓を一度で切断するためには、鎌の刃の微妙な角度調整が必要です。
失敗して何度かやり直すだけで大粒の汗が落ち、体力が消耗します。


採取した蔓は、節間や枝ごと、ねじれがあるところなどを分けて
切断していきます。

この時期、水をたくさん吸っている蔓からは、すぐに水がしたたり
おちてきます。先人たちは山で水に困ったとき、ブドウ蔓や白樺を
利用するといった話を何度か聞いたことがありました。
(すこし舐めてみましたが、無味無臭でした。)


続いて、すぐに樹皮を剥がします。まっすぐ伸びた蔓はきれいに
剥がれますが、節やこぶが多い個所、水分が循環していない箇所は、
なかなかうまく剥がれてくれませんでした。


今回は約3時間で、3本の蔓を採取することができました。
とはいっても、この日のために、事前に下調べをしてもらっていたそうで、
車からもさほど離れず、一番いい場所を案内してくれたのでした。

これまで、蔓採取の条件のひとつとして、適度に人の手が入った杉や
松林がよいと聞いてはいましたが、今回その理由がよくわかりました。

杉は、高くまっすぐに伸びるのに加え、人の手で下草が刈られ、
枝打ちもおこなれているので、杉に巻き付いたヤマブドウも一緒に
上へ上へとまっすぐに成長し、くせのないきれいな樹皮が採れます。

これに対し、鬱蒼とした手つかずの山や広葉樹の森の場合だと、
蔓はいろいろな場所に絡みながら、曲がったり枝分かれしながら
伸びていきます。本来のヤマブドウは、こうしたワイルドな見た目の
曲がりくねった植物であるわけですが、まっすぐなものが好まれる
市場向きとはいえません。

近年、ヤマブドウが採りにくくなってきていることは、いたるところで
耳にしますが、決して山に生育していない訳ではないと思います。

人の暮らしが山から離れてしまったことにより、山に入りにくくなって
いることや、木材としての杉の価値の低下から人の手が加わっていない
山林が増えたこと、地域によってはかごの作り手など蔓を採る人が
増えすぎている現状も、大きく影響しているのではないかと感じました。

今回僕を連れていってくれた方にそのような話をしてみたところ、
自分も同じように感じている、とおっしゃっていました。

その方は、子供のころから、林業に携わるお父さんに連れられ、山が
いつも身近な遊び場だったそう。大人になってからは、本格的な登山や
山スキーを楽しんだりと、僕自身の自然や山との向き合い方に重なる点も
多く、共感する部分をたくさん感じられた貴重な機会でもありました。


そして、何度か話してくれた言葉が、とても印象に残りました。

ヤマブドウの蔓が大きく成長するには何十年という時間がかかり、
一度採取してしまうと、自分が生きている間に再生することはない。
その蔓のいのちをいただくわけなので、とにかく丈夫につくること、
できるだけきれいに籠に仕上げることを、いつも意識するようにしている。
そうすることで、採られなければ山で生きたであろう時間と同じくらい、
長く愛用してもらえる可能性があるから。


その夜は、自力で建てたという山小屋に宿泊させていただきました。
お酒を飲みながらおこしてくれたくれた焚火には、山からわざわざ
降ろしてきたヤマブドウやクルミの木をくべていて、すべて無駄なく
使い切ることを実践されていることを知りました。

この採取した材料を使ったかごが完成するのは、おそらく秋以降。
今回、山で一緒に過ごした経験を通じて、この方のかごを紹介
できることを、より一層うれしく思うようになったのでした。


伊藤征一郎

2017-06-20

ECフィルム上映会、終了しました!

6月18日(日)までの約二週間、店内で常時上映を行っていた
ECフィルム上映会が終了しました。
特に最終日には、遠方からもたくさんの方にご来場をいただきました。


17日には、数多くあるECフィルムのタイトルの中から
「かごを編む」をテーマにした10作品の上映&トークイベントを行い、
30名以上のみなさんとともに鑑賞しました。

ガイド役をお願いしたのは、造形作家として活動している下中菜穂さん、
バスケタリー作家の本間一恵さんのおふたり。


30年来の友人でもあるという、お二人の息の合った解説を頼りに
映像をみていくと、普通では気がつきにくい微妙な手の動きや、
素材の特徴などを知ることもできて、一人で鑑賞するよりも
ずっと映像の中に引き込まれていきました。

本間さん所有のかごのコレクションも
多数お持ちいただきました。
こちらは、かご編み名人「ハタオリドリ」の巣。


皆で集まって、それぞれの知恵を出しあいながら、映像が物語るものを
紐解いていく、、、そんなECフィルムの楽しみ方を感じていただけた
のではないかと思います。

ECフィルムの貸し出しは、当店のようなお店や施設だけではなく、
個人やサークルなどでも気軽に利用できるそうです。
みなさまも機会があればぜひ、この貴重な映像の百科事典を
活用してみていただければと思います。
(ECフィルム公式サイトはこちら > http://ecfilm.net/

今回の企画展をきっかけに、映像で残すことの大切さを、
これまで以上に意識するようになりました。
当店では、様々なかご製品を扱っていますが、これから50年後も
同じように伝統をつないでいくことは容易ではないと思います。

これからも、かごがうみだされる産地の状況に関心を持って
足を運び、映像として記録していくという活動もしていきたいと
考えています。そして、いつか上映会という形で、みなさんに共有を
していけたらと思っています。

期間中にお運びいただいた皆様、開催を後押ししてくれた
下中菜穂さま、本間一恵さま、丹羽朋子さま、中植きさらさまに
お礼申し上げます。

カゴアミドリ
伊藤征一郎

2017-06-13

『窓花』上映会&WS 終了しました。

今日は、中国の切り絵「窓花」に関する上映会&ワークショップを
開催しました。

講師をしていただいたのは、造形作家であり、紋切り研究家の
下中菜穂さん、文化人類学研究家・丹羽朋子さんのおふたり。
現地には何度も一緒に足を運んでいるそうで、豊富な知識とともに
お二人の息もぴったりでした!


まずは、中国の黄河上流 洞窟の家「ヤオトン」を住居とする
漢民族の人々の暮らしと、窓花づくりの映像を鑑賞。



大地に横穴を空けた住まいのため、入口の数が限られるヤオトン。
その格子窓には装飾を施した優雅な細工が施され、「窓花」とよばれる
美しい紙の切り絵が飾られています。

ハサミと紙だけで表現する「窓花」は、農閑期の女性たちの手仕事。
毎年、新年が近づくと貼り替えを行い、招福や厄除の意味があるとともに
家族の健康や恋人へのメッセージなどが込められているのだそうです。


窓花を影絵でみると、動物たちが躍動しているよう!

後半は、実際に切り絵の体験へ。
まずは、和紙を使った日本の伝統的な「紋切り」からスタート。
シンプルでなめらかな曲線が多いため、練習にピッタリです。

雪の結晶柄の紋は、江戸時代のお殿様がオランダの
顕微鏡を使って考えたのだそうです。かわいい!


続いて、中国の窓花に挑戦!
用意いただいた見本を元に、みなさんそれぞれ好みの形を選びました。
紙を重ねて切るので、一度にたくさんできるのも特徴のひとつ。
コピー機の登場など想像がつかなかった時代には、生活においても
必要な複製の技術だったのかもしれません。

 
色とりどりの窓花が完成!

壊れやすく、色も褪せてしまう儚い切り絵の伝統を、
手によって脈々と伝えてきたヤオトンで暮らす女性たち。

ただ切ったり、飾ったり、という行為だけではなく、
家族や未来に対して「祈る」という気持ちも加わって、
一枚の紙に刻まれているように思いました。

先週からスタートした ECフィルム上映会「一から作る」もいよいよ後半。
古い映像が物語る、手しごとがある暮らしについて、ぜひ想いを馳せて
みてください!

いとう

2017-06-11

「窓花」ワークショップ は6/13(火)開催です!

中国の切り絵「窓花」の上映会&ワークショップは、
いよいよ 明後日13日(火)の開催となりました!



■日時:6月13日(火)13:00~15:00
■料金:2500円 
■お申し込み
 info@kagoami.com  または  042-505-6565まで
■詳細はこちら > https://goo.gl/VIhkML

造形作家として活動している下中菜穂さん、現地での滞在経験も
豊富な文化人類学の研究家・丹羽朋子さんのおふたりをお招きし、
現地での暮らしや窓花づくりの映像をご覧いただいたあと、
実際に
「切り絵」づくりを体験いただきます!

まだ、席にゆとりがございますので、ご都合あいましたら
ぜひご参加ください。

2017-06-06

ECフィルム上映会「一から作る」はじまります!

エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ(ECフィルム)は、
1900年代の半ばに作られた、映像による百科事典。

その膨大なタイトルの中から「一から作る」をテーマに選んだ一連の映像を
明日 6月7日(火)から、当店にて上映いたします!




「糸」「綱」「布」「靴」「舟」「小屋」づくりなど、
10タイトル(計 約90分)を店内スクリーンで常時上映します。
イスもご用意していますので、ぜひゆっくりご覧ください!


ECフィルムの制作は、1952年、ドイツの国立科学映画研究所の
壮大な計画のもとではじまったそうです。

多くの研究者やカメラマンが世界の各地に赴き、その土地ならではの
暮らしの技法や儀礼など、貴重な営みを記録。
約30年間の活動により、3000タイトル以上の映像がアーカイブされました。

その中には、今では完全に姿を消してしまった道具や、
人の手ではなく、機械化されてしまったものなど、失われてしまった
多くの手仕事も含まれています。

今から50年ほど前、ほんの2,3世代前の人々がどのように暮らしていたのか、
その姿に思いを馳せ、これからの手仕事について考えるきっかけと
なればと思っています。

上映は18日(日)までの10日間です。
みなさまのご来店をお待ちしております!

伊藤

2017-06-01

中国の切り絵「窓花」上映&WSのお知らせ

世界中の知の記録の集積をめざした映像百科『ECフィルム』。

6月7日(水)から開催する上映会に合わせて、
中国の切り絵『窓花』をテーマにしたイベントも企画しました。

~「窓花」上映会& 切り絵 ワークショップ ~
日時:6月13日(火)13:00~15:00(12:40開場)
料金:2500円 ※要予約




ECフィルム活用プロジェクトのメンバーであり、造形作家として
活動している下中菜穂さん、現地での滞在経験も豊富な文化人類学の研究家
丹羽朋子さんのおふたりによる「映像上映会&ワークショップ」です。

現地での暮らしや窓花づくりの映像をご覧いただいたあと、
切り絵づくりを体験いただきます。



中国に流れる大河、黄河の上流から中流域に広がる黄土高原。
この地域で暮らす人々は、大地に横穴を掘って作る住居「ヤオトン」で
暮らしています。

入口が限られるヤオトンには、装飾を施した優雅な細工が施され、
その格子窓には「窓花」とよばれる美しい紙の切り絵が飾られています。

ハサミと紙だけで表現する「窓花」は、古くから農婦たちの手によって
引き継がれてきた、日本のお正月飾りのような存在でしょうか。

毎年、新年が近づくと貼り替えを行い、招福や厄除の役割
ともに
家族の健康や恋人への想いをかたちに表現しているそうです。

ヤオトンで暮らす女性たちの手の中に生まれ、脈々と続いてきた
窓花づくりの伝統を感じてみてください。

みなさまのご参加をお待ちしております!

<イベントお申し込み方法>

○メールの場合
「info@kagoami.com」 宛に、タイトルを「窓花イベント」とし、
 以下の2点をお知らせください。
 1)参加者のお名前
 2)日中のご連絡先(携帯電話番号など)

○電話の場合
 042-505-6563 までご連絡ください。

※10時~17時まで