2017-08-31

「チプサンケ」開催中の二風谷に訪問しました

北海道の旅では、沙流郡日高町の二風谷に数日滞在しました。
期間中は、アイヌの人々による年に一度の儀式「チプサンケ(舟おろし)」 
が行われていて、川下りやものづくり体験などを楽しみました。

宿泊させていただいたのは「平取アイヌ文化保存会の事務局長」
を務める貝澤耕一さんが所有するログハウス。滞在中は、
「二風谷ダム建設差し止め訴訟」の原告の一人でもあった貝澤さんの
これまでの活動について、お話を聞くことができました。

沙流川流域のアイヌ民族の風習や文化、その歴史とともに、
ダムの建設後もなおその影響を受けながら暮らしている現状を、
スライドを交えわかりやすく説明していただきました。

貝澤さんはまた、開拓と開発で荒れてしまった自然を本来の姿に
戻そうと、
山林を買い取って森を育てる
「ナショナルトラスト・チコロナイ
(わたしたちの沢)」の活動も
されており、自然の再生についても
学ぶものがありました。

アイヌの人々を公の場で初めて先住民族と認め、独自の文化への配慮を
欠いた事業認定を違法とした「二風谷ダム訴訟」の札幌地裁判決から
今年で20年。1997年に下された「ダムは違憲」との判決にも関わらず、
その本体がすでに完成していたことを理由に、翌98年から運用が
開始されました。

貝澤さんのご自宅は、ダムからわずか数百メートルの場所。
その姿をいつも
どのような気持ちで見つめているのか、想像することは
容易ではありません。


しかし、わずか20年のうちに、ダムの総貯水容量の4割近くが土砂で
埋まってしまいました。なんと100年で堆積する予定の2倍以上の土砂が、
10年たらずで堆積していたことが判明し、たまった泥による濁りは
河口の日高町にまで達し、特産品であるシシャモの繁殖にも大きな影響を
与えているそうです。
にもかかわらず、二風谷ダムのさらに上流では、現在も「平取ダム」
の建設が進行しています。

ダムの工事が始まったのは1973年。他のダム建設地と同様、ニ風谷でも
多くの住民が土地を手放す選択をしたそうですが、
その理由は補償金や
住民間の分裂だけではなく、その歴史的背景や
差別による
アイデンティティーの喪失などもあったのではないかと思いました。


その歴史についてのお話を聞いている間、年に数度足を運んでいる
沖縄のことが、頭に浮かんできました。その土地に長く暮らしてきた
人たちの意に反する国策や人権侵害、自然環境の破壊に対する、
静かで根気づよい戦い。平和的な解決をのぞむ姿が重なって見えました。
また、アイヌ民族と遺伝子的にもっとも近いのは琉球民族であると
聞いたことがありますが、その表情や助け合いの精神、自然を敬う
暮らし方という点でも、共通するものが多くあるように感じます。

そして、これらの問題の根本には、自分も含めた多くの人の無知、
関心の無さがあるような気がしてなりません。

アイヌの人々は、すべての事物には神が宿ると信じ、特に多くの恵みを
もたらしてくれる植物や動物などを「カムイ」として敬ってきました。
そこには、生きるために必要なものを必要なだけ、自然からいただいて
暮らしてきた、すべての生き物との共存の姿があります。
それは次世代の人々の生活環境を守り、伝統的な暮らしを維持するための、
唯一無二の手段でもあるのかもしれません。私たちの今の暮らしの
あり方にこそ、こうした生き方から学ぶものがとても多いように感じます。

今回、わずかな期間ながら見聞きしたものをできるだけ多くの方に
知ってもらい、ぜひ現地を訪ねてほしいという思いから、こちらに
投稿させていただきました。

最後になりましたが、今回の訪問を受け入れてくださった貝澤家と
二風谷の皆様、滞在中ご一緒いただいたみなさまにお礼申し上げます。


カゴアミドリ 伊藤征一郎

2017-08-29

【受付中!】9/2(土) moily 池宮聖実さんによるトークイベント

9月2日(土)の「かごイチ」には、moilyさんによる
カンボジアのかごがたくさん並びます!

  <かごイチ vol.6  moily カンボジアのかご>
   日時:9月2日(土)  10:30-17:00
   場所:カゴアミドリ

moilyさんのかごは、カンボジアの西部、かの有名なアンコールワット
にほど近い、小さな村で作られている「ラペア」のかご。
この地域にしか見られない 白くて美しいつる性の植物です。

moilyを主宰する池宮聖美さんは、ラペアのかご作りの
伝統が残るこの村に足しげく通い、村の人たちと力を合わせながら、
日本の暮らしにもよく馴染む、素敵なかごを完成させてきました。



当店でもこれまで、洗濯かごやトレイなどの定番製品を販売し、
ご好評をいただいてきましたが、イベント当日は「手提げかご」をはじめ
幅広いラインナップをご用意いただける予定!
「moily」の魅力を、たっぷりと感じていただければと思います。




そして、池宮さんによるトークは18時スタートです。

大学を卒業し、世界を各国を旅したあと、カンボジアの伝統的なかご
と出会い、その技術の継承と雇用をつくるための起業を決意した池宮さん。
20代にしてmoilyを立ち上げてからのお話は、涙や笑いもありつつ、
とてもたくさんの気づきに満ちていて、新しい視点を示してくれます。

ぜひお気軽にご参加ください!

【トークイベント】
日時:9月2日(土)18:00~19:30
定員:10名(要予約)
参加費:500円

◎申込方法
TEL:042-505-6563
Email:info(*)kagoami.com  ※(*)を@マークに変更してください
(お名前とお電話番号 をお知らせください)



2017-08-14

9/2(土) 「かごイチ」はカンボジアのかご『moily』さんに出店いただきます!

次回、9月のかごイチに出店いただくのは、カンボジアの手仕事のかごを
日本に紹介されている「moily」の池宮聖実さんです。


カンボジア西部の小さな村で、ラペアとよばれるやさしい色合いの素材を
使って、丁寧に仕上げられたmoilyさんのかご。
当日は、新作のかごバッグなど、さまざまな製品をご覧いただけます。

また、当日の営業終了後に、moily代表の池宮さんによるトークイベントを
開催いたします。
なぜ、カンボジアという場所で、村の人々にかごを製作してもらい、
日本に紹介する仕事を選んだのか? 池宮さんの日々の活動について
お話をしていただく予定です。ぜひご参加ください!

【トークイベント】
日時:9月2日(土)18時~19時30分
定員:10名(要予約)
参加費:500円

◎申込方法
Email:info(*)kagoami.com  ※(*)を@マークに変更してください
TEL:042-505-6563
1)お名前 2)お電話番号 をお知らせくださいませ


みなさまのご来店・ご参加をお待ちしております!

2017-08-08

『八重山のかご展』クバの葉のワークショップ

今日は、与那国島の與那覇有羽さんをお招きし、クバ(ビロウ)の葉を
使ったウブル(水汲み)と
カゴづくりを行いました。


小学生のお子さんたちも参加してくれましたが、みんな立派な形に
仕上げることができました。
夏休みのよい思い出になってくれたらうれしいです。

手付きのかご

ウブル(水汲み)

 休憩時間には、与那国島に伝わる島唄も
披露いただきました。

ご参加いただいた皆さま、おつかれさまでした。
(予定より長い時間となってしまい、申し訳ございませんでした)
講師の與那覇さん、たいへんありがとうございました!

2017-08-02

『八重山のかご展』はじまりました!

本日より、沖縄・八重山の島々のかごを集めた企画展
『八重山のかご 展』がはじまりました!

【会期】 8月2日(水)~8月13日(日)
 ※7日・8日 休み

ここ数日、東京ではあいにくの空模様が続いていますが、
店内は一気に夏の島のイメージあふれる雰囲気に。
上映している映像からは、にぎやかなセミの鳴き声が響いています。


このたびの企画展では、島で生まれ育ち、昔ながらのかごづくりを
続けている名人たちのかごとともに、島で暮らしはじめた若い作り手たち
のかごをあわせてご覧いただけます。

こちらは、竹富島『クージの会』のみなさんの手によるもの。
アダンの手提げかご(ヤミカゴ)、ガヤとクージで編んだ貯蔵かご
(ユナーラ)、月桃で編んだ手提げ(アンツク)などなど。
メンバーのみなさんそれぞれが得意としているかごを届けて
くださいました。

与那国島からは、與那覇有羽さんのクバのかご。
現地では「ウブル」とよばれる水汲みかごですが、壁に掛けられるように
厚みを減らし、紐をつけていただきました。
與那覇さんには、8日に開催するワークショップの講師もお願いしています。

こちらは、同じ与那国島の「やまいとぅ工房」さんの作品と、
材料の採取風景。かごの素材となる「トウヅルモドキ」は、
与那国では「いとぅ」とよばれています。(竹富島では「クージ」とよびます)


西表島からは、事前にもお問い合わせが多かった
「西表島手わざ暦 手ぬぐい」(1188円),「西表島手わざ帖 ①②③」(各 600円)
届いてます。

その他にも、多様な植物をたくみに利用した、八重山の島々の民具が
多数勢ぞろいしました。


会期は、8月13日(日)までとなっております。
ぜひ手に取ってご覧いただければ幸いです!

2017-08-01

スペイン 栗のかごの産地へ(後編)

スペイン伝統の、栗のかごを製作しているダビドさんの工房に
お邪魔してきました。

さっそく、工房の前に栗の枝が気持ちよさそうに天日干しされて
いるのを発見!


枝は、伐採された後すぐに大きな釜を使ってボイルし、表皮をはがして
4つ割にしたあと、数か月間干して完全に乾燥させます。

しっかりと乾燥させたら、2種類の機械をつかって、うすい板状に
加工していきます。


機械が導入されたのは比較的最近のことで、それまでは鉈(なた)を使って
すべてが手作業で行われていたそう。
とはいえ、両側に人が立って操作するこの作業も、半分以上が手仕事と
いえそうです。


これで下準備が完了。
板状に加工した素材は、長期間にわたって保管することができます。

つづけて、かご作りの過程を拝見しました。

編みはじめは、底部分から

ダビドさんがかご作りに使う道具は、
この大きくカーブした鉈のみ。
おじいさん、お父さんと代々受け継がれ、
使い込まれて渋い光を放っていました

作業は流れるように進んでいきます

道具のひとつひとつから、歴史が伝わってくるよう

完成です

周囲を山に囲まれたダビドさんの村では、古くから栗の木をさまざまに
生かして、暮らしが営まれてきました。

かご作りはダビドさんの家に代々伝えられてきた家業で、
ダビドさん自身は、少なくとも4代目になるとのこと。

今もスペインの人びとに愛されて続けているこの栗のかごを、
次の世代に伝えていきたいと語ってくださいました。

八百屋さんの店頭で見かけた、
山盛りのクルミを入れた大きなかご

こちらは別の食料品店

教会の入り口でも、
さりげなく使われていました


→「スペイン 栗のかごの産地へ」(前編)は こちら








スペイン 栗のかごの産地へ(前編)

今回の旅では、スペインまで足を伸ばし、いつも栗のかごを
作ってくださっているダビドさんも訪ねてきました。

スペインの西部、中世の雰囲気が残る都市サラマンカから、
バスに揺られてさらに数時間、緑豊かな山々の谷あいに、
その小さな村はあります。

山の上から集落を一望

乾燥地帯の多いスペインの中にあって、瑞々しい広葉樹の森に恵まれた
この地域は、古くから「栗のかご」の名産地として知られてきました。

ダビドさんと合流し、まずは早速、材料となる栗の木を見に
森へと向かいました。

このあと急斜面のやぶを登っていきます

森の中なのに明るい!というのが第一印象でした。

森がこんなにも明るくさわやかなのは、日当りを確保するために、
また若い幹がまっすぐ伸びていくように、葉や枝の一部を払うなど、
こまめな手入れをおこなっているから。

こうして村の人たちが手入れを続けてきた天然の栗林は、落ち葉が栄養に
なるため、特に肥料など施さなくても土壌が保たれ、100年以上に
わたって、材料を採りつつ維持されてきたそうです。

自然のサイクルに沿ったものづくりが、今もそのままの形で
続いていること。それはこの時代にあって、本当に貴重なことですが、
この土地ではごく当然に、最良の方法として、人びとに受け止められて
いるのだなと感じました。

伐採は、水分が抜けて乾燥する冬時期に行います。
樹齢4~5年、直径7~8センチほどに育った若い幹が、柔軟性の高い
かご作りに最も適した素材となります。

足元をよくみると、ごつごつと大きな根株が。
一本の株から、毎年何本もの芽が伸び、
繰り返し恵みを与えてくれます。

つぎはいよいよ、ダビドさんの工房にお邪魔します!
→後編はこちら